グルメ 2024/05/30
スリランカカレー インド料理 スリランカ料理 ナビおすすめ スパイス
こんにちは。Chieです。
ここ数年、SNSの口コミで話題となり、レストラン紹介の雑誌にも取り上げられるようになった、人気急上昇中のスリランカカレー*ですが、みなさんはスリランカカレーと聞いて具体的にどんなカレーを思い浮かべますか?
*正確にはスリランカンカリー(Sri Lankan Carry)ですが、今回は日本語のスリランカカレーで統一して記載します。
私自身アーユルヴェーダをきっかけにスリランカと出会うまでは、見た目がなんとなく似ているという理由から、スリランカカレー=ほぼインドカレーだと思っていました。
ですが、実際に食べてみたら全く異なる味わいが衝撃的で、今ではその魅力に取りつかれ、スリランカカレーにまつわるスパイスの勉強まで始めた次第です。
今回は改めてスリランカカレーの特徴をまとめつつ、現地のスリランカ人シェフに伺ったインドカレーとの違いや、日本でも食べられるおすすめスリランカカレーのお店もご紹介します。
【特徴1】スリランカカレーに欠かせないココナッツ
スリランカでヤシの木は、道端だけでなく、自宅の庭に生えているのも普通というくらい身近な存在です。熟したヤシの実が落下して、運悪く下にいた人に直撃する死亡事故が毎年数件あるというのは、冗談のような本当の話。
ヤシの実からはココナッツウォーターやココナッツファイン(白い身の部分を削ったもの)、ココナッツオイルが取れ、残った皮は燃料にしたり(よく燃えます!)、ヤシの木の表皮でホウキを作ったりなどなど、余すところなく使えるので、スリランカでは昔から重宝されてきました。
スリランカカレーは、ココナッツオイルでスパイスや具材を炒めたあと、ココナッツミルクでルーの味を整え、さらにココナッツファインで副菜の定番ココナッツサンボル(シンハラ語:ポルサンボル)を作るなど、ココナッツ無しには語れません。
ちなみに、スリランカのココナッツは、オレンジ色の実のキングココナッツが主流。スリランカ原産の品種で、日本でよく知られる緑色の実よりも甘みが強いのが特徴です。
【特徴2】素材ごとに調合を変えるスパイス
スリランカはその気候から良質なスパイスが採れることでも有名で、多くの国に(日本にも)輸出をしています。
スリランカカレーでは、カレーリーフ(シンハラ語:カラピンチャ)・パンダンリーフ(シンハラ語:ランペ)・シナモン・カルダモン・クミン・レモングラス・ブラックペッパーなど、さまざまなスパイスを使用する食材ごとにブレンドして使い分けます。
ココナッツミルクの甘くマイルドな味わいと、ピリッとした風味豊かなスパイスが絶妙に混ざり合うのを想像するだけで、おなかが空いてきませんか?
【特徴3】隠し味はかつお出汁⁉︎
海に囲まれた島国スリランカでは漁業も盛んで、具材にはマグロや海老といった海鮮もよく使われます。
具材以外にも、スリランカカレーではモルディブフィッシュ(かつおの一種)を日本のかつお節のように干してフレーク状にし、スパイスと一緒にカレーに入れます。
モルディブフィッシュの出汁によって、人間が美味しさを感じる基本の味覚5つ「甘味、酸味、塩味、苦味、うまみ」のうちの「うまみ」がさらに底上げされ、スリランカカレー独特の味の奥行きを作り出しています。
モルディブフィッシュという隠し味が、スリランカカレーが日本人に受け入れられた要因のひとつであることは間違いなさそうです。
【特徴4】全部混ぜて美味しさUP!
スリランカカレーは、ライスとともに数種類のカレーと副菜(少なくとも肉魚系カレー1種+野菜カレー1種+副菜2種)をよそって、少しずつ混ぜながらいただきます。
基本的に1カレー1具材で作るので、チキンカレー、フィッシュカレー、カボチャカレー、豆カレー(シンハラ語:パリップカレー)といったお馴染みの具材から、バナナの花カレー、マンゴーカレー、ジャックフルーツカレーといった日本人からすると驚くような具材まで、まさに具材の数だけカレーがあります。
また、混ぜることによって「甘味、酸味、塩味、苦味、うまみ」がより調和され、そこに「フレッシュなスパイスの風味」が複雑に絡み合っていくという味覚と嗅覚の相乗効果から、スリランカカレーは科学的にも「美味しい」が証明できる食べ物なのです。
スリランカ人はほぼ毎日カレーを食べていて、そんなに食べて飽きないの?と最初は思っていましたが、理由を知ってなるほどと納得です。
サンボル
代表的な副菜といえばサンボル(和えものという意味)。たまねぎ、ライム、チリ、ブラックペッパー、塩などのベースと野菜を混ぜたふりかけのような存在です。
中でも定番のココナッツサンボル(シンハラ語:ポルサンボル)は、スリランカ人にとってのまさにソウルフード。
他にも、たまねぎを砂糖で甘く炒めたシーニサンボルや、苦味が美味しい青菜のゴトゥコラサンボルなど、さまざまな種類のサンボルがあります。
パパダン
豆粉で作った餃子の皮のようなものをパリッと揚げたパパダンも人気です。
指先でグシャッと割り砕いて、カレーや副菜と混ぜて食感のアクセントを楽しみます。
レストランなどでは、お通しとしてパパダンのカゴ盛りが供されることがありますが、程よい塩気と食感がお酒にもよく合い止まらなくなるので、メインのカレーが来る前に食べ過ぎ注意です。
白米
スリランカの主食はパラっとした品種の白米が主流。
カレーの種類に合わせて、ターメリックで黄色く色付けしたり、シナモンやカレーリーフと一緒に炊いて香りを移したりといったアレンジもします。
レッドライス
また、赤米(レッドライス)も人気で、味は白米と変わりませんが、栄養価が高くアーユルヴェーダの観点からもおすすめです。
ランプライス
昼食ではパンよりお米を食べることが多いスリランカでは、ご飯の上にカレーや副菜をのせてバナナの葉で包んだランプライスというお弁当スタイルも定番です。
元はオランダから伝わった製法で、バナナの葉に包んで蒸すことでご飯とおかずの味が馴染み、バナナの葉の香りもふわっと香って食欲をそそります。日本ではまだまだ珍しいですが、バナナの葉を使った本格ランプライスを提供するお店も出てきているので、見つけたらぜひオーダーしてみてください。
ロティ
朝ご飯やおやつの定番ロティ。
特に小麦粉にココナッツを混ぜて焼いたココナッツロティ(シンハラ語:ポルロティ)は、ほのかに甘くモチモチとした食感で、チリペーストやカレーと一緒に食べるのが一般的です。
ちょっと邪道ですが、個人的には、朝食でバターやジャム(特に、スリランカ名産の甘酸っぱいアップルウッドジャムがよく合う!)を塗って食べるのもおすすめです。
ホッパー
お椀のような形のホッパー専用フライパンで、クレープのように焼いていくので、まわりはパリッと薄く、中央はモチっと厚く仕上がります。その食感のコントラストが絶妙!
中央に卵を落としたエッグホッパーや、キトゥルパニ(ヤシ蜜)を混ぜ込んで焼いたデザートホッパーなどもあります。
ストリングホッパー
ストリングホッパーは、米粉で作った生地をところてんのような器具で細く押し出してから蒸しあげたもので、日本の素麺を柔らかく茹でた食感に似ています。
カレーが馴染みやすく消化もいいので、朝ご飯や軽めの夕飯として人気です。
キリバトゥ
お正月やお祝いなどのおめでたい席で出されることの多いキリバトゥ(シンハラ語キリ=ミルク、バトゥ=ライス)は、お米をココナッツミルクで炊いたほんのり甘いミルクライスで、モチッとやわらかな食感は日本米に少し近い感じがします。
特別な日でなくても、レストランやホテルのメニューでよく見かけるので、ミルクライスと聞いて抵抗のある人も、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
ピットゥ
ピットゥはお米とココナッツを竹筒に入れて蒸した筒状のご飯。
ホロホロと崩れやすいですが、サラサラのカレーをかけると、ルーが染み込んでしっとりと食べやすくなります。
ちょっぴり甘く軽い食感で、朝食の人気メニューですが、意外と作るのに手間がかかるので、なかなかお目にかかれません。
私のおすすめは、フィッシュカレーをかけて、チリペーストと一緒に甘辛を楽しむ食べ方です。
日本人からすると少々わかりにくいスリランカカレーとインドカレーの違いについて、現地でレストランを営むスリランカ人シェフに教えてもらいました。
なお、南インドとスリランカは地理的に近く気候も似ているため、カレーの味付けや材料も似ている点があることと、日本では北インドカレーの方がよく提供されているようなので、今回は北インドカレーと比較しています。
【違い1】スリランカカレーの方が辛い傾向がある
スリランカではブラックペッパーとレッドチリとグリーンチリのトリプル使い、北インドではレッドチリ(カイエンペッパー)をメインに使います(どちらも使うが全体の使用量における相対的比率のことだそう)。
簡単に辛さの違いを説明すると、ブラックペッパーは即効性のあるピリッとした辛みで持続性は弱くスッと爽やかな後味、一方チリは徐々に辛みの感覚が強くなりじんわりと持続性があるのが特徴です。
スリランカカレーの方が辛いと感じるのは、即効性と持続性の異なる辛さが同居しているからではないかとのこと。
たしかに、スリランカをはじめ年間を通して暑い地域では、汗をかいて体温調節を促す目的で、自然と辛いものを好む傾向があります。アーユルヴェーダでも、体質や体調に応じて辛いものの摂取を推奨することがありますが、理にかなっているのですね。
ちなみに、辛みをつけるスパイスは意外にも全体の1割程度なので、辛さを抑えてもスパイスの風味を楽しむことはできます。現地でも辛くしないでと伝えれば調整してくれることが多いです。
【違い2】スリランカカレーはスパイスがシンプル
スリランカカレーは種類こそ多いですが、一つ一つの工程はシンプルで、1つのカレーに対し3種類前後のスパイスとカレーリーフを使うのが一般的です。
一方、北インドカレーでは、ターメリック、クミン、コリアンダー、シナモン、カルダモン、ナツメグ、クローブ、フェンネルなどのスパイスと、それらスパイスを調合したガラムマサラ(ミックススパイス)をよく使います。
一概にはいえませんが、スリランカはシンプルなスパイスで素材の味を生かしたカレー、北インドはスパイスの本純な香りと複雑な風味を生かしたカレー、という傾向がありそうです。
【違い3】スリランカカレーは油っぽくない
スリランカカレーは、まずココナッツオイルで食材を炒め、全体の約9割のカレーにココナッツミルクを使います(カレーにバターや小麦粉は使いません)。そのためコクがあるのにさらっとして油っぽくありません。
一方、北インドカレーは牛乳やヨーグルト、ギー(バターオイル)などの乳製品をよく使うので、こってりとした濃厚な味わいに仕上がります。
【違い4】米派vs小麦派
スリランカでは、ロティやパンなどの小麦を使った主食も食べますが、やはり基本はお米です。
北インドでもお米は食べますが、メインは小麦粉をこねて焼いたチャパティやナンが多いです。
【おすすめ理由1】ココナッツは栄養や効能が豊富!
ココナッツミルクには、カリウム・鉄・マグネシウム等のミネラルが豊富に含まれている一方、なんとコレステロール値はゼロ!にもかかわらず、動物性の油脂やミルクにも劣らないコクで満足感があるので、脂質が気になる人にも嬉しい。
【おすすめ理由2】有効成分を含むスパイスが贅沢に使われている
スリランカカレーには、アーユルヴェーダ医学の観点から人体に有効な効能があるとされるスパイスが多く使われています。
例えば、スリランカカレーに欠かせないカレーリーフには、消化を促進する作用があるので胃もたれを軽減する効果が期待できます。また、カレーの良い香りを引き立たせるクミンには腸を活性化する効能があるので、便秘を改善する効果があります。
【おすすめ理由3】野菜がたくさん摂れる
スリランカカレーは、肉魚系カレー1種+複数の野菜カレーや野菜で作ったサンボルの組み合わせで、ベースもココナッツ。なので結果的に全体に占める野菜の割合が高くなります。
スパイスやモルディブフィッシュのおかげで、味が単調にならず満足度が高いのも、野菜をたくさん摂れる秘訣です。
実は私、最近動物性のものを控えて植物性中心の食事にしています。はじめて間もないのですが、便通がよくなり、生理不順も整い、基礎体温が上がって体の軽さを感じています!もちろん効果には個人差があると思いますが、カレーは好きだけどもたれるんだよなぁという人は、ぜひスリランカカレーにトライしてみてほしいです。
【おすすめ理由4】自分好みの味を追求できる
ローカルレストランでは、ケースに複数のカレーや副菜が並んでいて、好きな味を指差していって、自分だけのワンプレートを注文できます。
家庭では、食卓に並んだ大皿から自分で取っていくことが多いですが、チキンカレーの肉をやたら多めに取るパパや、副菜の野菜をバランスよく盛りつけるママなど、みんなで同じカレーを囲みながら、それぞれのお皿で違ったマイベストカレーを作れる楽しさがあります。
友人の混ぜ方を真似してみたら新しい味を発見できたり、隣に座ったおじさんのすすめでチリペーストを多めに混ぜたらお腹が死んだこともあったりなど、自分好みの味を追求していく過程で新たなコミニュケーションが生まれる楽しみもスリランカカレーをおすすめしたい大切な理由の1つです。
【おすすめのおまけ】手で食べるのには訳がある!
スリランカでは、右手の指を使って器用にカレーを食べます。実は、手で物を食べると、身体が食べていることを認識し胃の活動が活発になるので、消化吸収を促す効果があるとされています。
私はお寿司を食べるとき、箸を使うより手で食べる方が、不思議とより美味しく感じることがあります。
スリランカに来た際には、ぜひ手でチャレンジしてみてください。ただし、ささくれなどのちょっとした傷に気づかずに手を使うと、チリの刺激で激痛が走るのでお気をつけくださいね。
ここからは、日本でもスリランカカレーが食べられる人気のお店や、スリランカ料理にまつわるおすすめの記事を紹介します。
数年前まではインドカレー店のメニューの端に載っていることもあったスリランカカレーですが、現在では都内だけで30店舗ほどの専門店があるようです。
・新店舗情報もあり!東京のおすすめスリランカ料理 人気店20選(retty)
こちらも都内の情報ですが、他のサイトではまだ情報の少ない隠れた人気店も紹介されています。超有名になって混雑する前にチェックしたいですね。
スパイスカレーの名店がひしめき合う大阪でも、スリランカカレーは話題になっています。新型コロナウイルスの影響で営業時間を変更している店舗もありますが、一部店舗ではテイクアウトや宅配サービスを始めているようなので、美味しいカレーを食べてレストランも応援したい!
「福岡スリランカカレー」という独自の視点でまとめられた特徴や各店の紹介が面白いです。
スリランカのスパイスをふんだんに使ったスイーツもおすすめです。お店で見つけたらぜひ試してみて。
スリランカにはカレー以外にも魅力的な料理があります。スリランカに行く前に、押さえておきたいスリランカ料理が多数紹介されていてます。
スリランカでの食事の注意点や、スリランカ料理を美味しく楽しむためのポイントが紹介されています。
・スリランカカレーってどんなカレー?日本とインドのカレーの違いについても解説!
スリランカカレーの特徴だけでなく、日本とインドのカレーとの違いも詳しく解説してくれています。カレーのレシピも紹介されています。
・似ているようで全然違う!スリランカカレーとインドカレーの違いは?
カレーハンターさんが動画でスリランカとインドのカレーの違いについて解説してくれています。
まだまだあります!東京をはじめとする人気店の紹介記事
・一度食べたら病みつきに!本場の味を堪能できるスリランカ料理のお店8選
老舗を中心に各店の情報や、内装や人気メニューの写真も掲載されているので、イメージが湧きやすく行ってみたくなります。
お店ごとにおすすめメニューを紹介してくれているので、迷うことなく注文できそうです
カレー店の紹介で有名なカレーパフォーマーさんが、東京を中心に埼玉、千葉、神奈川のおすすめ店を紹介してくれています。
・絶品スリランカカレーが食べ放題「バンダラ ランカ」@四谷三丁目
新宿御苑からも近い「The Artcomplex Center of Tokyo(アートコンプレックス・センター)」にあるスリランカレストラン「バンダラ ランカ」を紹介している記事。スリランカ出身のシェフやおしゃれな内装の紹介後、話題の本格スリランカカレービュッフェの詳細も掲載されていて、見ているだけでお腹が空いてきます!
2019年にオープンしたばかりの「ヤムヤムカデー」は、スリランカ料理やインド料理の教室で有名な古積先生が店主をつとめる注目店。とても丁寧な取材でお店の空気感まで伝わってきます。